ブリーディング・その16=遺伝性疾患:膝蓋骨脱臼(パテラ)

小型犬に最も多いとされる遺伝性疾患の一つで、遺伝性(先天性)と後天性に分けられます

ここでは、遺伝性(先天性)のみの説明となります
簡単に後天性の説明をすると、後天的要素の原因として挙げられるのが、事故や普段の生活・肥満などです
フローリングにはじゅうたんやマットを敷き、膝に負担をかけないことが予防の第一歩です

では、本題に戻ります・・・

膝蓋骨脱臼(パテラ)とは、膝関節にある膝蓋骨(一般的にお皿と呼ばれている所)が外れることで、本来ならば大腿骨の溝にはまっているのが通常ですが、これが遺伝的要素のよって、膝関節のまわりの筋肉や骨・靭帯の形成異常などから、溝が浅く外れたり、膝の靱帯が緩んで内側に外れやすくなったりします

トイプードルでは内方脱臼が多いと言われています

症状としては、脱臼した足を浮かせて歩くようになるので、日頃のお散歩などで歩行がおかしくなったら疑いを持ち、獣医師に診てもらうことが必要となります

膝蓋骨脱臼の症状は、その進行によって4段階のグレードに分けられています

グレード1: 脱臼しても自然と正常な状態に戻ることが多く、無症状で気づかない場合が多い

グレード2:時々脱臼した足を浮かせて跛行しますが、犬が足を伸ばしたり、人間が手をかせば簡単に整復でき、日常生活にそれほど大きな支障はありません
しかし特に治療せず放置すると、骨が変形し、靭帯が伸びるなどしてグレード3に進行する可能性が高くなります

グレード3: 脱臼していることが多く、整復してもすぐに脱臼した状態になるため、脱臼した側の足を挙げて跛行することが多くなります

グレード4: 常に脱臼している状態となり、元に戻すこと(整復)ができず、ひざを曲げたままの状態で歩くといった歩行異常が見られるようになります

治療方法は、グレード4ないし5と診断された場合は、手術を推奨されます
ただし、遺伝性で幼少期から膝蓋骨脱臼(パテラ)を発症し、犬にとって普通の生活がおくれるのであれば、手術を無理にする必要もないとの意見もあります
これは、手術後のリハビリなどが犬と飼い主両方に負担を要するためです

予防方法は、先天性の膝蓋骨脱臼の場合はありません

この病気を持つ犬は繁殖させないようにすることが唯一の予防法となります
しかし、膝蓋骨脱臼の遺伝子検査は確立していないため、過去に発症事例がないかを検証・記録するような膨大でかつ時間のかかるデーター管理が必要となります

医療の進歩によって遺伝子検査が確立され、1日も早く、トイプードルがのびのびと走り回れる日が訪れることを心から願ってます